悪魔の熱情リブレット
わざわざアウレリアを辱めたのは、人間と交われば天使は例外なく地獄に堕とされると知っていたからだ。
人間を殺すという手も考えた。
しかし、ただ殺人を犯しただけでは追放されない。
神の命により人間を殺す天使は珍しくないのだ。
命令なく人を殺しても、罪にはなるが堕天までいかない。
確実に堕ちるなら、人間との交わりを。
「ティアナ…早くおいで」
次の賭けは彼女がいないと始まらない。
アンドラスは首にかかっている十字架を握り締めた。
「シルヴェスター。もうすぐティアナの生まれ変わりがここに来るよ。だから、ちょっと頼まれてほしいんだけど」
「何でしょう?」
するとアンドラスは指を折って数え始めた。
「えっと…バシンにサリエルにオセー、それからヴォラクに…念のためマルコシアスも」
「お呼びすればいいのですか?」
「うん。明日までにはここに来るように伝えて来てよ」
主の不敵な微笑みにシルヴェスターはひざまずき、頭を垂れた。
「わかりました」