悪魔の熱情リブレット

再度耳に届く忘れられない声。

「無茶なことを言わないで下さい。それよりも、アウレリア様どうぞ中へ」

シルヴェスターはアウレリアの手を優しく取ると、綺麗になっている椅子に座らせた。

すると、白い青年が後ろからアウレリアの首に抱き着いて言った。

「ティアナには僕がついてるから、君は三百年分の埃を片付けてよ」

しぶしぶ引き下がるシルヴェスター。

部下を掃除に追い払うと、丁度サリエルが入ってきた。

「皆、揃いましたよ」

「そう、入ってよ」

彼の合図で「皆」がアウレリアの前に並ぶ。

「な…な、に?」

どう見ても人には見えない生物多数。

「お嬢ちゃん!また可愛く育ったな!」

丸坊主の男性が陽気に話し掛けてくるが、彼の尻尾に怖じけづく。

「バシン!ティアナがびびってるよ?控えて」

(ティアナって私のこと…?)

さっきから自分のことを「ティアナ」と呼ぶ意味がわからない。

「あの…ティアナって…?私はアウレリアですよ?」

抱き着いている青年に聞くと、彼は口角をつり上げた。


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