悪魔の熱情リブレット
悪魔と生活するようになって数日。
ティアナは自分の家ではなく、アンドラスが選んだあの大きな家で寝起きすることとなった。
二階の客室をあてがわれ、そこでシルヴェスターに読み聞かせをしてもらったりオセーに勉強を教わったりする。
オセーは豹の姿では教えにくいと言い、勉強の時だけは人間の姿になってくれた。
短い金髪に赤い瞳。
豹の時と同じ色彩の威厳ある男性。
見た目は恐そうだが中身は真面目な性質のオセー。
アンドラスやヴォラクよりも安心して近くにいられるとティアナは心の中で思った。
さて、曇り空で一雨きそうな午後のこと。
その日、オセーは来ないのでティアナは暇だった。
遊んでもらおうにも、シルヴェスターは地下の台所で料理の勉強に没頭中。
声をかける雰囲気ではないと判断し、居間へ。
「アンドラス…」
そこには暇そうに椅子に座る白い悪魔がいた。
遊んでほしいと目で訴えてみる。
それに気づいたのか、彼はティアナに「おいで」と手招きした。
素直に従うティアナ。
その素直さに悪魔は口角を上げた。
「ティアナ、暇なの?なら僕と遊ぼうか」
六歳の少女を向き合う形で自分の膝に座らせる。