悪魔の熱情リブレット
アウレリアは長い木の階段を一気に駆け降りた。
(早く!早くアンドラスのところに!!)
それしか考えられない。
響く鐘の音を聞きながら焦りと不安だけが膨らんでいく。
やっとのことで時計塔の外に出た。
「アンドラスー!!」
倒れて全く動かない彼に駆け寄る。
骨を折ったのか、腕や足が不自然な方向に曲がっていた。
頭も打っているらしく、白い髪が赤く染まっている。
「ねぇ、起きて!?アンドラス!死なないでしょ!?前言ってたじゃない!!悪魔はちょっとバラバラにされるくらいじゃ死なないって!!嘘だったの!?ねぇ!!」
彼の体を揺さ振ってから気づいた。
「う…そ…」
胸に刺さる聖なる十字架。
「う…そだ…」
アウレリアはその場にへたり込んだ。
「何で!?何で十字架、刺さって…!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!」
彼女は悪魔を殺す道具のことを思い出し、半狂乱になった。
頭を振り乱し、アンドラスの体に縋る。
「ねぇ!!起きてよ!!アンドラスーーーーーーーー!!!!!!!!!!」