悪魔の熱情リブレット
突如聞こえた凛とした声。
「誰…?」
居間にやって来たのは銀髪の天使とライナルトだった。
「私は神の使い。ライナルトの嘆願を聞き入れるために来た」
「アンドラスは無事に転生されることになったよ。俺が無理に押し通した。代わりに堕天処分を受けたけどね」
兜を脱ぎ、微笑んでみせるライナルト。
堕天の儀式はこれからなのか、彼にはまだ白い翼がついていた。
「ライナルト…堕天してまで…どうして!」
嬉しいけれど悲しい。
アウレリアは泣きそうになるのを我慢して尋ねた。
「…君達のため。俺は二人の未来が明るいことを望んでる。それに…ティアナを連れ出した償いもしなきゃ」
「償いだなんて…!そんな…」
顔を歪ませるアウレリアに、ライナルトは落ち着いた声で話し掛けた。
「ティアナ、君はこれから長い時を眠りにつくんだ」
「え?眠り…?」
唐突な話題にアウレリアはキョトンとして首を傾げた。
「アンドラスが再び君の前に現れるその日まで、神様が守ってくれると約束して下さった」
「え!?」
この発言に、その場にいた天使以外、皆驚きの声を上げた。
「一体、どういうことですか?」
シルヴェスターが天の申し出の意味を疑いの面持ちで聞き返す。
「神の御心だ」
冷淡な声で真実を告げる銀の天使。
「御心か…。何かすんげー裏がありそうな気がするけど?」
バシンの勘繰りにライナルトが反論しようとした時。