悪魔の熱情リブレット

ティアナが仮面と格闘している間に、アンドラスはもう片方の手で自分の前髪を掻き上げた。

そして現れたのは、金色の瞳。

見つめたものを破壊したくなる死の両目。

アンドラスは破壊衝動の化身とまで言われる悪魔だ。

悪魔でも人間でも、視線が交われば襲い掛かって相手をめちゃくちゃにしたい衝動に駆られる。

ゆえに前髪を伸ばし、仮面を被る。


アンドラスは仮面に気をとられている少女を、遠慮なく見つめた。

残念ながら顔はよく見えないが、白い肌に滑らかな髪、まだ未発達の体を舐めるように見つめ、脳内に記憶させていく。

「この幼い体が、十年後にはどうなっちゃうんだろうね…」

十年経たずに飽きて破壊されるか、成長して悪魔に愛でられるか。

「全ては君次第、だね」

それはそれは美しく白い悪魔は微笑んだ。




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