悪魔の熱情リブレット
オーケストラがチューニングを始めた。
もうすぐ開幕だ。
教会内には新作に期待する多くの人々が集まっている。
リーゼは老婆のところには戻らず、制作関係者が座る端の席に座った。
彼女は心臓をうるさく鳴らしながら時計を見た。
「時間だわ」
そして幕は上がった。
短調の悲しい旋律の序曲が演奏されるなか、舞台背景にセットされたスクリーンにタイトルが映し出される。
『悪魔の熱情リブレット』
さあ、お話しましょうか。
この真実のオペラ物語を。