悪魔の熱情リブレット
ティアナは不安げにアンドラスを見上げた。
「あのさ、そんなに怯えないでよね」
そして彼らは教会の前に到着した。
「教会なんて何百年ぶり?」
そう言ったもののアンドラスは教会内には入らず建物の裏に回った。
「どこ行くの?」
当然教会に用があるのだろうと思っていたティアナは不思議そうにアンドラスについていく。
「悪魔が好む場所」
小さい頭で必死に考えるティアナ。
なかなか答えが出ない彼女に悪魔は優しく正解を教えた。
「墓地さ」
教会の裏に広がる光景。
石造りの十字架が整然と並ぶ死者の寝台。
アンドラスは嬉しそうに墓地の入り口の門を開け、中へと進んでいった。
ティアナもはぐれまいと後を追う。
「ここでお歌、歌うの…?」
「そうだよ。とっておきのステージさ」
そう言うと彼は右手を振り上げた。
すると空中に鋭い大振りの剣が出現し、彼の右手に収まった。
「今から地獄への道を開く」
恐怖で足がすくんだティアナ。
動けない彼女を横目にアンドラスは剣で墓の十字架を薙ぎ倒した。