悪魔の熱情リブレット
「心境の変化?人間の女に惚れた君に言われたくないね。念のために言っとくけど…僕の玩具に手出したら殺すよ」
アンドラスの威嚇するような言葉にサリエルは上品に笑った。
「手なんて出しませんよ。興味はありますが。それよりアンドラス。貴方、先日教会の上で讃美歌を歌っていましたよね?」
「のぞき見か。悪趣味な奴」
隠しもせずに堂々と舌打ちをする。
「とても綺麗な歌声でしたね。まるで天使のような…」
意味深な発言にティアナはアンドラスを見上げた。
「アンドラスは天使?」
「違う!僕は悪魔!サリエルも悪魔!だから奴の言葉に惑わされるな」
怒った調子で言い聞かす。
すると悪魔サリエルはますます笑みを深めた。
「私は堕天使です。アンドラスも堕天使」
「だ、てんし…?」
いまいち意味が理解できない少女に紫の堕天使はわかりやすく解説した。
「私達は昔、神様のいらっしゃる天の国にいたのですが、神様のお怒りを受けて地獄に堕とされてしまったのです」
「神様、怒っちゃったの?」
「はい。神様は怒るととても恐いんですよ。ですからティアナ。貴女も神様に怒られないように礼拝をしましょう」
「はあ?」
サリエルの突拍子もない提案にアンドラスが声を上げた。