悪魔の熱情リブレット
「人間を育てるならハーブ系の植物を植えておけ。タイムとかミントとかパセリとか…」
ティアナを安静にさせて部屋を出るバシンがアンドラスにアドバイス。
「俺様はガーデニングが趣味なんだが…悲しいかな、地獄での住まいがめちゃめちゃ熱い火の中なんだよな。栽培しようにも、みーんな燃えてさようならだ」
涙目になるバシン。
厳めしい顔つきなのに全く威厳を感じられない。
「君は火に対する耐性が強いんだね」
「その通り!火の扱いは得意中の得意!なんなら今度遊びに来るか?」
すっかり仲良くなっている二人。
シルヴェスターの心配は杞憂に終わった。
「なあ、一つ聞いていいか?」
バシンが坊主頭をかきながら言いづらそうに尋ねる。
「何?」
「最近お嬢ちゃんに…なんか取りついた?」
お嬢ちゃんとはティアナのことだ。
アンドラスは驚いて声を荒げた。
「わかるのか!?」
「ああ。お嬢ちゃん、かなりヤバい奴に好かれちまったかもな…」
バシンは心の中で呟いた。
(微かだが…何であいつの気配があのお嬢ちゃんからするんだ…?調べてみるか)
悪魔が去り、安らかに眠る少女。
しかしこれは序曲に過ぎなかったのだ。