悪魔の熱情リブレット
「私も忙しい。また下らぬ人間に呼び出されてな。当分小娘の相手ができぬ」
軽く溜息をつく美貌の悪魔。
「人気者は良いですな~。俺様なんてここ何百年で受けた呼び出しは指で数えられる程度だ」
「そうか。そんなに暇か」
意地悪く聞こえる声音。
「ならば、バシン。その小娘を見張れ」
「アイアイサ~…って、何ー!?俺様がー!?」
頷きかけるも待ったを唱えるバシン。
「駄目駄目!駄目ですよ~!俺様はアンドラスのことを気に入ってるし、あんたみたいな性悪悪魔に好かれたお嬢ちゃんを気の毒に思ってるんだから!」
「相変わらずズバズバものを言う…。私の側近でそんな口をきいて命があるのはお前くらいだ」
漆黒の悪魔はバシンを睨みつけ、もう一度言った。
「いいかバシン。命令だ。あの小娘を見張れ。破壊の悪魔が彼女の魂を独り占めしないようにな」
暗闇の化身のような悪魔は笑う。
バシンは命令という言葉に従わざるを得なかった。