悪魔の熱情リブレット
「じゃあ、またな!春だからって油断して風邪ひくなよ?」
そう言い残し彼は魔界へと瞬間移動してしまった。
ティアナは土がついた手を余った水で洗い落とし、その場を後にした。
教会と町を繋ぐ長い木の階段を降りる。
歩きながらティアナは呑気に鼻歌を歌っていた。
サリエルから教えてもらった讃美歌。
その暗いメロディーを口ずさみながら階段の最後の一段を飛び降りる。
その時だった。
ティアナはいきなり何者かによって口を塞がれた。
突然のことに訳もわからず暴れるが、腕を掴まれ動けなくなってしまった。
「やった!悪魔を捕まえたぜ!」
「どうするよ!?売る!?高値で売っちまう!?」
「ていうかこれが悪魔?ただのガキじゃん」
三人の男達。
彼らは悪魔を捕まえて金にしようという愚か者達であった。
(私は悪魔じゃない!)
そう抗議したいが口を塞がれた状態であるため不可能だった。
涙目で彼らを睨みつけるティアナ。
「なんだよ。睨んでも全然恐くねーぞ?」
「逆に可愛い!こんな悪魔だったら俺が檻に入れて飼う!」
「お前、幼女趣味か」
ティアナを悪魔と勘違いしている彼らは用意してきた革袋に少女を押し込もうとした。
(嫌!!助けて!!)