悪魔の熱情リブレット

「ママー!ママー!?」

袋の中から高い声がする。

「ティアナ!!」

母が少女の名を呼んだ。

「その子をどうするつもり!?袋から出しなさい!!」

「子供はこれから火に焼べる。悪魔は火によって浄化されるというからな」

淡々と紡がれた言葉こそ、悪魔のようだった。


「やめてー!!!!」


悲痛な母の叫びを無視し、少女を燃やすべく広場へと向かう夫と俺達。

そこには火あぶりと同様の炎が少女のために用意されているのだ。

「待って!やめて!!」


届かない思い。

家の中に一人取り残され、絶望で顔が青ざめた。

「いや…いやよ!ティアナ!」


その時だった。



――女よ


どこからともなく、低く暗い地を這うような声がした。


 
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