悪魔の熱情リブレット

「一週間くらいで終わってくれないかな…」

ティアナはシルヴェスターが差し出してくれた果物を食べながら小さく呟く。

どこと無く寂しそうな雰囲気だ。

「何だ?お嬢ちゃん、アンドラスが構ってくれなくて拗ねてるのか?」

バシンの指摘にドキリとするティアナ。

目線を泳がせ答えに戸惑う。

「好かれてますね。アンドラスは」

サリエルがからかうように微笑んだ。

「ち、違うもん!アンドラスが構ってくれなくてもシルシルがいるもん!」

ティアナがそう言った瞬間、彼らのテーブルに勢い良く何かが落ちてきた。

衝撃で破壊されるテーブル。

「ティアナ様!」

「きゃああ!」

「おいおい、酒がもったいないぞ!」

「アンドラス!気をつけて下さい!」

ティアナ達が住む家の屋根の上で格闘していたアンドラス。

彼はマルコシアスを殴りながら自分の剣をわざと投げたのだ。

シルヴェスターに向かって。


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