悪魔の熱情リブレット
まさに悪魔の囁き。
甘い声音でティアナをシャッテンブルクへと誘おうとする。
「わ、たし…は…」
怯えながら上目遣いで白い悪魔を見つめる。
「さあ、戻ろうよ」
悪魔が微笑みながら手を差しのべた。
「私、は…」
震えながら手を伸ばす。
「さあ、戻っておいで…」
――僕の玩具…
手を伸ばしかけて、ためらった。
――私は…
「私は、あなたの玩具じゃないの!!」
弾かれたように彼女は走り出した。
石の階段を駆け降り町の外へ向かう。
「ティアナ!!」
アンドラスも走って追いかける。
いくらティアナが全力で駆けても、悪魔には敵わない。
すぐに追いつかれた少女は勢い良く地面に押し倒された。
「いたっ!」
軽く頭を打ったティアナは涙目で、のしかかるアンドラスを見上げる。
「どいて!」
「嫌だ」
アンドラスはティアナの両手を地に押さえつけた。