悪魔の熱情リブレット
アンドラスが出て行ってから、ティアナは自室のベッドで顔を赤らめていた。
(キスされた…)
彼女は自分の唇を指で触りながら教育係の教えを思い出していた。
(オセーが言ってた…。唇へのキスはあいさつじゃなくて愛情表現だって…)
「なんで、アンドラスは」
――私にキスしたんだろう…?
そしてもう一つ気になるのは、彼の美しい金色の瞳。
(あんなにきれいなのに、隠してるなんてもったいないな)
町の外の事よりも今はアンドラスのことが気になるティアナ。
「初めてキスされたけど…」
嫌ではなかった。
そう感じている自分がいた。
(でもアンドラスは私のこと玩具だと思ってるんだよね…)
落胆する心に気づき、少女は戸惑う。
「えっ?私…」
――アンドラスに好かれたいって思ってる…?