キミがいればいい
春隆side

坂を上がると、
大きな和風の豪邸が広がっていた。
ここが春隆の家。
代々続く書道家、花沢家。
こんな家、本当は帰りたくもない。
そうは思ってもどうすることもできない自分が情けなくて、毎日がつまらなかった。

「ただいま」

小さい声でそういい、
大きなげんかんのとびらを開けた。
案の定、父は目の前に立っていた。
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