キミがいればいい
「なんだと?」

「俺は親父みたいにはなりたくねぇんだよ。
《書道の大会》
それのせいにして母ちゃんの最期をみとれなかったろ。
俺はそれが許せねぇんだよ。 命と書道どっちが大切なのか分かってんのか?」

清郷がこぶしを握り、春隆に向けた。

春隆は微動だにせず、そのこぶしを見つめる。

こぶしが下りた。
春隆は、父が自分をなぐらないことを分かっていたのだ。

父が息子に真実を言われ、
自分勝手になぐれるはずがない。

春隆は父を鋭くにらみ、
自分の部屋に入っていった。
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