キミがいればいい
一生懸命、誤魔化してはみたが、捺希には無力に過ぎなかった。

「またまた〜。でも、好きなら好きって私たちには言ってね。
どんどん応援するから」

「うん…」

一瞬言おうか言うまいか迷ったが、今は言わないことにした。
しかし、捺希と花温がいい人で良かった。
琴見は心底安心した。




放課後ー。
琴見の緊張はとだえなかった。
「サッカー部のマネジャーやってみない?」春隆のこの一言が、頭の中でぐるぐる回る。
グラウンドまで向かうまでの道のりが、妙に長く感じた。
胸の鼓動が外まで聞こえそうだ。
グラウンドに着くと、もう数名の部員がサッカーボールを蹴って遊んでいた。
無意識のうちに春隆の姿を探していた。
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