キミがいればいい
「そうか…。なら仕方ない。
この書道家花沢家をここで途切らせるわけにはいけない。
だから、春隆…わかってくれ」

「何がだよ」

「お前も、もう16だ。あと2年で結婚もできる。
そうすればまだ、花沢家は続く」

「何が言いたいんだ」

清郷は立ち上がり、春隆と向かい合った。
何か深刻そうなふいんきを察した春隆はポケットから手を出し、清郷を見つめた。

「春隆の結婚相手を決めてきた。」

時間が止まった気がした。今、何と言った…?

「は?」

「つまり、春隆の結婚相手を決めたってことだ。
相手は、小学1年の時から書道一筋のー」

「ちょ、ちょっと待って。話が全く見えないんだけど…」

「そうだろうが。今から話す。黙って聞け」

春隆は頭をかいて清郷に背を向けた。
真剣な話と勘違いし、真剣に聞いた自分がバカらしく感じたのだった。その間も、清郷は話し続ける。
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