キミがいればいい
「相手は荒城 美波(アラジョウ ナミ)さんというお方だ。
ここら辺でも相当なお金持ちの家の1人娘だ。
荒城グループという組織は聞いたことがあるだろう。
ちょうど、書道を習っていて、今までは結構な腕前らしいから、お前の許嫁として、この家を継いでもらう。
早速、明日、顔合わせのために家に呼ぶから、明日は学校を休みなさい」

春隆は言葉が出なかった。
許嫁……いいなずけ……イイナズケ……。
この言葉が頭から離れない。

「春隆、いいか?」

「……」

「いいか!」

「…はい」

これ以上無視し続けると、
もっと面倒くさくなりそうなので、一応答えてはおいた。
まっ、もちろん学校には行くつもりだが。

「親父のせいで…せっかく話してたのに…」

「何?」

「あっ、いや何でもない」

気づかぬ間に、気持ちを口にしていた。
とにかく、
これからのことをどうにかしなければ…。
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