キミがいればいい
7時になると、山下がやってきた。
琴見は料理をしていた手を止めて、山下を中に招く。

「お邪魔するよ」

「どうぞ。もうすぐ料理できますから」

「あぁ、すまないね。
…かわいいね、いつも」

山下の最後の言葉が周りの兄弟の騒ぎ声でかき消された。

「えっ?」

琴見は聞き返す。
山下は我に返ったようにハッとなり、笑った。

「いや、何でもないよ」

「はぁ…」

琴見は首をかしげながら、料理の続きをした。
それから、10分後鍋が完成し、9人の兄弟たちは、一勢に食べ始めた。
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