キミがいればいい
琴見に頭を下げられ、山下はいい気分で笑った。
そうしているうちに、2時間が経ち、山下は櫻木家をあとにした。



山下は歩きながら1枚の写真を取り出した。
その写真には、櫻木琴見の姿が写っている。

「かわいい…この輪郭…この目…この口…すべて」

山下は微笑して、写真を胸にしまった。
家についた。築には25年の小さなアパート。

キーっと音が鳴るとびらを開け、電気をつけると、53歳の独身男性の部屋が照らし出された。
汚い部屋が照らし出された。
汚い洋服が足場をおおいつきし、異臭がただよう。
その原因は、キッチンの流し台にたまった洗ってない食器のせいだ。
しかしそんなことは気にしない。
今から俺の特別SHOWが始まる。
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