キミがいればいい
山下の上唇が上がった。
そのSHOWは畳の部屋にある。
その部屋は、いつものストレスを発散してくれる。
幸せな部屋…。
山下はニヤニヤしながら畳の部屋へつながるドアを開けた。
電気をつけると、今日もたくさんの琴見がむかえてくれた。
天井の対角線上にたれさげられた白い糸に琴見を隠し撮りした写真が洗濯ばさみで止められている。
床にもきれいに写真は並べられており、全て琴見が写っている。
山下は1枚1枚じっくりと見ていったあと、今日、隠し撮りした写真を床に並べて置いたー。


夜中の3時…。
家を出るなら今の時間帯しかない。
親父はいつも1時に寝る。
坂田が眠りにつくのは2時くらいのはずだ。
許嫁なんつ許さない。
16歳の俺が、なぜ2年後の結婚相手を勝手に決められなければならないのか。
意味が分からない。
春隆はベッドからはい出して、パンパンのバックを手にとり、そっと部屋のとびらを開けた。
大丈夫、誰もいない…。
その証拠に廊下の電気が消えている。
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