キミがいればいい
「花沢 春隆が急な用事だそうで」

「そう。私は何時でもいいけど。それより、制服持ってきて。着替えないと。あと、今日の朝食は紅茶とフランスパンがいいわ。それと、帰りのお迎えだけど、私を待たせたらクビだからね」

なんて注文が多いワガママ娘なんだ。心の中で文句を言いながら、執事は

「かしこまりました」

と返し、部屋を出したのだった。
荒城 美波とは、荒城グループ社長の1人娘。そして、春隆の許婚である。
一言で言うと、誰もが声を合わせて「ワガママ」と言うだろう。
高校の授業で嫌いな授業があれば、執事を呼び出し即帰宅。
ご飯も、父や母の要望は一切聞かない。
自分が好きなものを人に押し付ける。
待つのが大嫌いで、夕食の準備も30分以上かかると苦情を言ってくる。
しかし、美波にも得意なものがあった。
書道だ。
中一で書道八段になり今では、かなりの腕前である。
そして、顔もスタイルもいい。
完璧といっていいホドノ外見だ。
正直、美波は自分をかわいいと思っていた。
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