神様がくれた夏
多分夏目涼は今ここにいた女が前に水をかけてきた女だと知らなかったのだろう。
気づかなかったのだろう。
いや、本当ならば気づかないままあたし達は別れただろう。
だからこうして見つめ合って気づいた今、あたしは彼に認証されたのだ。
どんだけ人に興味がないんだと突っ込みたくなった。
どんだけなの。
「夏目」
先生は名前を呼んで促す。
すると夏目涼はどこか面倒そうに息を吐くと、体ごとあたし向き合った。
真っ向からあたしと向き合う。
「っ!!」
あたしは思わずビックリしてしまい、一歩後ずさってしまった。