神様がくれた夏
殴られるとは思わないけれど、やっぱりこうして向き合うのは少し怖いものがある。
雰囲気が何とも言えないくらい恐ろしいのがまず第一の原因だろう。
少しくらい和んだ雰囲気を発してくれてもいいじゃないか、なんで心の中で思ったけれど口にはしない。
ほんの少しでもいいから優しい雰囲気を放って欲しい。
それが人に物を頼む態度か? なんてしまいにはちょっぴり腹がたった。
「あ、あの…」
けれどあたしはそこで知る。
無言で見つめられ続けることは恐ろしいということを。
耐えかねたあたしは声を発してしまったのだ。
すると夏目涼はどこか罰が悪そうな顔をすると、ぼそりと呟いたのをあたしは聞き逃さなかった。
「………お願いします。」