神様がくれた夏
名前を呼んで彼を見れば、
「あ?」
いかにも面倒そうに振り向いた。
そんな姿に若干ビビリながらも、名前を呼んでしまったからには後戻りできないと悟ったあたしは大きく息を吸って震える心を平常に戻そうとしてみた。
1つ気づいたことがある。
今、夏目涼はあたしの存在を認めた。
けれどあたしはそこで気づく。
あの日、水をぶっかけてしまったときのように存在を認めなかった夏目涼が今あたしを認めた。
名前を呼べば振り向いた。
名前を呼んだ瞬間、やばいやっちまったと思ったけれど、どうやら怒りには触れていないようなので安心した。
名前呼んでんじゃねぇよ、みたいなお怒りになったらどうしようかと思って、内心ハラハラしていたりして。