神様がくれた夏



けれどもあたしはそれを口にしない。


いや、口にできないと言ったほうが正しいだろう。



あたしはジュースを奢ってもらった程度で心を許してくれたんじゃないかと思うほどお花畑な脳をしていない。



何て言ったって夏目涼は数々の恐ろしい噂を持つ男。


いきなり怒り出して怒鳴りだして、八つ当たり程度だとしても殴られたりなんてしたら死んでしまうかもしれないのだ。



考えるだけで恐ろしい。



以後宜しくする気がない夏目涼との関係を親密なものにする理由などない。


このプール掃除の時間だけの薄い関係だ。



だから本当は彼のことなどどうだっていいのだ。



< 128 / 468 >

この作品をシェア

pagetop