神様がくれた夏
「…ま、別に言いたくないならいいんで」
あたしはそう言うと、掃除を再開する前に缶の中身のジュースを一気に飲み干した。
缶をプールサイドに置いてはブラシを持って、掃除を再開するべく隅のハシゴに足を掛けて下へと降りる。
他の生徒がやってくれていたとは言ったものの、まだ少し汚れはこびりついているので、早く終わらせるためにも頑張らなくてはいけない。
気づかなかったで済ませてしまえばいいのかもしれないけれど、あたしの性格上どうもそうできないらしい。
やるならしっかりやりたい。
なあなあで終わらせるのはなんだか癪だ。
あたしは額の汗を拭うとブラシを握る手に力をこめた。