神様がくれた夏
彼が上半身を起こすと同時に、あたしは慌てて即座に下から抜け出す。
そしてなるべく彼から離れようと、ソファーギリギリまで下がった。
意思じゃない。
それは本能に似た何かだった。
震える自分がみっともなくて、あたしは自分を抱きしめた。
そのまま小さく体育座りで固まった。
コワイ、と。
全身が叫び声を上げている。
なんなの…?
初めてのことに体の震えが止まらない。
今すぐこの家から飛び出したいのに、足が言うことを聞いてくれない。
彼は面倒そうにため息をついて、あたしに詰め寄ってきた。
嫌な汗がゆっくりと伝う。
逃げなきゃ。