神様がくれた夏
門扉の前で先輩が壁に寄りかかりながらあたしを見ていた。
「せ、先輩…」
なんてタイミングなんだろうか。
なんて絶妙なんだ。
あたしはこみ上げてきた何かを生温い唾と一緒に飲み込む。
ゴクリと、やけに大きな音が聞こえた気がした。
あたしはブラシをその場に置くと、上に上がっては駆け足で先輩の元へと急いだ。
パタパタと、裸足で走り寄る。
「どうしたんですかっ?」
にこやかに、笑顔でそう会話を切り出した。