神様がくれた夏



門扉の前で先輩が壁に寄りかかりながらあたしを見ていた。



「せ、先輩…」



なんてタイミングなんだろうか。


なんて絶妙なんだ。



あたしはこみ上げてきた何かを生温い唾と一緒に飲み込む。


ゴクリと、やけに大きな音が聞こえた気がした。



あたしはブラシをその場に置くと、上に上がっては駆け足で先輩の元へと急いだ。


パタパタと、裸足で走り寄る。




「どうしたんですかっ?」



にこやかに、笑顔でそう会話を切り出した。



< 133 / 468 >

この作品をシェア

pagetop