神様がくれた夏



こうしてあたしが止めるしかない。


このまま止めなかったら殴り合いになるだろうと予想ができた。




「先輩、あたし足洗ってくるんで、外で待っていてくれませんか?」



笑顔で。


笑顔で笑顔で。



先輩の機嫌を損ねさせたらいけないと思ったあたしは、頑張って笑顔を作った。



笑顔を…作った…?




「…分かった」



先輩は振り返る前、一瞬夏目涼をキツく睨んだのをあたしは見逃さなかった。




そんな先輩の瞳を見てゾッとした。


あの日の出来事が鮮明に蘇ってきてはあたしを怯えさせる。



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