神様がくれた夏



悩んでもしょうがない。


ただ名前を呼んでしまっただけなのだ。



それ以上の理由はない。



彼はまだあたしを見ている。


あたしの存在を認めてくれている。




だからあたしはにこりと笑った。


笑ったまま言った。




「…またね」




それだけ。


たったそれだけの言葉。



〝またね〟



誰かが「またね」は「また明日ね」の略だと言っていたことがある。


あたしはその意味を込めて言ったのだ。



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