神様がくれた夏




「…おう」



声が届いた瞬間だった。



なぜだろう。


思わず涙が溢れ出しそうになったんだ。



あたしはもう振り返らなかった。


下駄箱に置いてあった靴を履くと、そのまま先輩の元へと駆け出した。




「お待たせしましたっ」



笑顔でそう言えば、先輩はいきなり顔を寄せてきた。



「っ!!」



驚いたときにはもう遅い。



唇が塞がれていた。



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