神様がくれた夏




タバコ…吸ってたんだ…。


知らなかった。



そこで初めて気づく。




あたし―――彼のことを何にも知らないんじゃ…。




するとそんな思考を遮るかのように、フーっと彼の口から白い煙が吹き出された。


漂うタバコの臭いに、あたしは咽そうになるのを必死で我慢する。



タバコのニオイは嫌いだ。


親が吸わないせいで慣れていないのだ。



先輩は香水のニオイがキツいから、そのせいで気づかなかったんだろうと思った時だった。




クっと。


突然彼が小さく声を発した。



それはとても楽しそうな、そsてとても愉快そうな、そんな声。



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