神様がくれた夏
「…無視すんなや」
「―――っ!!!」
心臓が喉から飛び出そうになった。
例えなんかじゃなく本気でそう思ったのだ。
「な…夏目涼…」
今さっきまで教室の外にいたはずの夏目涼が、今はあたしの目の前にいる。
あまりにも突然すぎて何て言葉を発したらいいのか分からない。
どうしたものか。
周りからの視線が物凄く痛くて苦しい。
異質なオーラを放つ夏目涼に関わりたくないと思う人はたくさんいるが故に、視線を合わすまいとしているようだが、あたしとの関係や会話が気になるらしくチラチラ見ている、と言ったところだろうか。