神様がくれた夏
逃げた。
あたしをほって逃げやがった。
あたしも後を続いて逃げちゃおうかな、なんてちょっぴり考えたけれどそんなことができるはずがない。
だからこうなればさっさと用を聞いて去ってもらう他ない。
勇気を振り絞って疑問を声にする。
「な…何か用が…?」
一緒にプール掃除をしているからと言っても、仲が良いと言えるほどまでになったわけじゃない。
こうして教室にやって来るのは初めてだ。
「…用」
「?」
夏目涼の視線がゆっくりあたしに移る。