神様がくれた夏
このジュースは何なのだということを聞きたかったのに、どうやらそれは夏目涼には伝わらなかったみたいだ。
賄賂か?
賄賂なのか?
「やる」
グイグイとこちらの缶ジュースを押し付けてくるもんだから、あたしは慌ててそれを受け取った。
「え……えっ?」
あたしにジュースを渡すと、夏目涼は何事もなかったかのように教室から出て行った。
あたしは缶ジュースを片手にどうしたらいいのか分からずに固まっている。
ザワザワと教室が騒がしくなる。
けれどあたしにはそれが聞こえなかった。