神様がくれた夏
何だったのだろう。
缶ジュースを渡すためだけにあたしの教室に入ってきたと言うのならば、あたしは夏目涼をいろんな意味で尊敬しよう。
ざわざわと騒ぐクラスメイト。
気づけばほのかは教室に戻ってきていた。
「結局何だったの?」
椅子に座りなおしながらほのかがそう聞いてくるから、あたしは缶ジュースを片手に持ったまま、
「りんごジュースをもらった」
起きた出来事をそのまま口にした。
もちろんほのかは訳が分からないとでも言いたそうな顔で眉を寄せた。
「はぁ? ジュースだけ渡しにきたの?」
「みたい」
「それだけのために?!」
「うーん…それはあたしも聞きたいなぁ…」