神様がくれた夏



つーんっとそっぽを向くあたしにほのかはやっぱり笑った。


あたしの機嫌は曲がったまま。



そこでほのかは言ったのだ。




「まぁ、夏目涼なんかより先輩の方が大切でしょ?」




あたしを凍らせる一言を。


何も知らない―――知るはずがないほのかは純粋にそう問うてきたのだ。




あたしの口は動いてくれない。


何かを喋りたくて、それでも唇は微かに震えるだけで言葉を吐き出してくれない。




早く頷かないとほのかが不思議に思ってしまう。


だから言葉を発しなければいけないのだ。




けれど。



けれど。





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