神様がくれた夏
ゾワっと。
凄い勢いで這い上がってくる、名もない感情。
びっしりと鳥肌がたっているのが触れているだけで分かる。
お願い…何か言って…?
いつもみたいに…笑って…?
冷たいその瞳に、あたしは必死で訴える。
言葉にしたいけれど、それはできそうになかった。
だから願った。
恐怖に怯えながらも先輩の目を見て必死に願った。
けれどダメだった。
「俺を拒む?」
言葉を溢すのはあたしの知っている彼じゃない。
見たことのない彼の表情に、あたしは思考停止状態に陥る。