神様がくれた夏
こうなったらどうしようもない。
どう見てもあたしの質問に答えてくれそうになかったから、あたしが夏目涼の質問に答えることにした。
「…ちょっと気分悪くて」
なんだか情けなくなってきた。
夏目涼はいつからあたしの後ろにいたのだろう?
もしもずっといたならば、自販機に買いに来たのにお金がなくて困り果てていたことがバレてしまっていることになる。
なんて恥ずかしい。
なんて情けない。
けれどそこで思ってしまう。
きっと夏目涼は一部始終でなくずっとあたしの行動を見ていたとしても、笑って馬鹿にしたりはしないんだろうな、と。
他人に興味の欠片すら見せない彼があたし如きに反応したりはしないと断言できる。