神様がくれた夏
着いて来いと言われたわけじゃないけれど、あたしは夏目涼を追っていた。
少し大きな歩幅。
綺麗にセットされている髪が風に揺れる。
あたしは決して届きそうにない高い背丈に、白いワイシャツがピッタリ似合っている。
どこかダルそうな歩き方を常にしている夏目涼の後ろをあたしは歩く。
なんだかこうして後ろに付くと、今までとは少し違う見方が出来ることを知ってしまった。
ふわりと風が吹くたびに、何となく気のせいかもしれないけれど、微かに香水のような匂いが漂ってくる。
ふわりと。
それはあたしを安心させる。
なぜだろう。