神様がくれた夏
冷え冷えのペットボトルを握る。
少し、いつもより歩幅を大きくして夏目涼と合わせてみた。
一歩ですごく前に進んでいる感覚。
夏目涼はあたしが後ろにくっ付いてきていると知っても何も言わない。
むしろ付いてくるもんと思っているのかもしれない。
夏目涼は何も言わない。
あたしはそんな彼の後頭部を同じく無言のままじーっと見つめてみた。
ひらりと歩を進める度に揺れる襟足に触れたらビックリするかな、なんて考えたそこで気づく。
さっきまでのあの気持ち悪いような感じがなくなっていることに。
あたしは視線をペットボトルへと下ろした。
なんでだろう。
熱射病とかじゃなさそうなので、それは良かったと思った。