神様がくれた夏
気にするな。
たかが間接キスだ。
そう必死に自分に言い聞かせる。
関係ない。
あたしと夏目涼の関係は、そんな言葉で表すような特別な関係なんかじゃないのだから。
けれどやっぱり緊張してしょうがない。
先輩とのキスの方がドキドキするはずなのに、夏目涼との間接キスにドキドキしているあたしの方が強い。
どうしたのさ、あたし、なんて自問しても自答はできない。
えいっ、なんて内心呟いて、あたしはそれを口にした。
ゴクリと飲み込んでは目を閉じている彼をそっと横目で見つめた。
この関係の名はあるのだろうか。