神様がくれた夏
目が合う。
呼吸が止まる。
あたしの世界が止まる。
すると先輩は友達から離れ、あたしへと近寄ってきた。
そして言うのだ。
「悪いけどさ、金貸してくんない?」
いきなり。
唐突にそれだけを言った。
「あ…うん」
あたしは慌てて財布から100円玉を取り出すと差し出した。
そこで思ったのだ。
あたしはいつも先輩にお金を貸すな、と。
そう思ってしまった理由は1つ。
最近夏目涼がいつもあたしに奢ってくれるからだ。