神様がくれた夏
夏目涼は何かといつも奢ってくれる。
考えてみればあたしから奢ったことなど一回もない。
もはやお金を貸したことなど一度もないのだ。
それとは逆に、先輩にお金は貸すけれど奢ってもらったことはない気がする。
お金を貸して返ってこないことばかりで、その逆は絶対にない。
なんだろう。
何だか胸がモヤモヤする。
今までに感じなかった何かがシコリとなってあたしの胸に引っかかる。
「ありがとー」
先輩はあたしから100円玉を受け取ると、さっさとお茶を買っては友達の元へ向かって行った。
その背中を見つめる。