神様がくれた夏




――――あの日に戻りたい。




ただ純粋に先輩のことが好きだったあの日に。




たまたま帰宅時間が一緒になると、駅まで送ってくれた。



傘を忘れたとき一緒に入れてくれた。



通りかかったときに笑ってくれた。



いつも優しくしてくれた。




思い出せないくらい、優しい時間が溢れていた。





――――はずなのに。





――――あの日に帰りたい。




この日から、あたしは彼が恐ろしくなってしまった。



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