神様がくれた夏
あたしは何も悟られないよう、いつもと変わらない笑顔で言った。
「大丈夫だよ。 先輩、友達と盛り上がる話でもあって急いでいたのかもしれないしね」
「うーん…そうなの?」
「そうなの」
大丈夫。
大丈夫だよ。
先輩は相変わらずのあの態度。
何も変じゃない、通常営業だ。
だから気にする必要はない。
変なのはあたしだ。
けれどどことなく、心が寂しくなってしまうのはどうしてなのだろう。
あの日から先輩に対して恐怖心のようなものが芽生えた。
極力学校内で会いたくないと思ってしまうことが増えた。